むかし、むかし、山のお寺がひどく荒れておったので、みんなでつくりなおすことになりました。お堂も門もりっぱになったが、井戸を掘っても水が出ない。
あちこち掘っても水がでないので和尚さんが困っていると、
「ええ、ほうろく。ええ、ほうろく。」
掘りかけの穴の奥から、ほうろく売りの声がします。
「ふしぎなこともあるものだ。もっと深く掘ってみよう。」ということになりました。
ところがいくら掘っても水が出ないどころか、岩に当ってこれ以上掘りすすめることも出来なくなってしまいました。
疲れきった和尚さんが、穴のそばでうたたねをはじめると、
「ええ、ほうろく。ええ、ほうろく・・・」とまた、あの声が岩の下から聞こえてきました。
いっぺんに目が覚めた和尚さんが、鍬で声のするあたりを打ちつけると岩が割れて水が吹きだしました。
「水が出た。水が出た。」顔も着物もずぶぬれになって、和尚さんは大喜び。
村の人たちは、この井戸を「ほうろく井戸」と呼んで大切にしましたと。

 
 
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