山の背くらべ
(犬山市)
尾張富士と隣の本宮山は、下から見ていても同じくらいの高さで、どちらが高いかわかりません。ふたつの山は、自分の方が背が高いと、毎日のように言い争いをしていました。
ある雨の日、とうとうふたつの山は、それでは決着をつけよう、ということになりました。
「おまえさんのてっぺんと、わたしのてっぺんに樋を渡して、水が流れてきた方が負けとしよう」
さっそく、勝負をはじめてみると、樋の水を頭からかぶったのは、尾張富士でした。この時こぼれた水が、ふもとの岩池になったそうです。
その夜、池野村の庄屋の夢枕に、尾張富士の神様が現れ告げました。
「わたしは、本宮山に負けてくやしくてしかたない。わたしのてっぺんに石を持ち上げてくれれば、願い事をかなえよう。」
庄屋は、村人にこのことを話して、みんなで石を山の頂上に持ち上げることにしました。
いまでも八月の石上げ祭りでは、石をもった人々の行列が尾張富士の頂上まで続きます。